ある親子が教えてくれた、○○する勇気

子育てにおいて思い通りにいかないという場面は、誰しもが直面することです。

 

今回は、子育てが思い通りにいかず葛藤していたあるママが見せてくれた、深い愛情と勇気のお話をご紹介します。

《並んでいた列を飛び出した親子》

 

ある夏の日、開演前の市民プールの門の前に長蛇の列がありました。 

 

我が家は列の後ろの方に並んでいたのですが、一番前に並ぶママと小さな女の子が何やらモメている様子で会話をしていたのです。

 

すると、急にその親子は列から飛び出してしまい、道のはじっこに行き座りこんでしまいました。 

 

列から出てスタスタ歩いて行ってしまうママの後ろをついていく女の子の姿を見て「どうしたかな?」と心配になり様子を伺っていると、どうやら子どもは泣いており、ママは怒っていることが分かったのです。

 

ママは苛々を抑えるためかタバコを吸いだし、列に並んでいるたくさん人々からは「あの親、泣く子をほったらかして煙草なんてひどい親だわ・・・」という声も聞こえていました。 

 

いても立ってもいられなくなった私は「ちょっと行ってくるね。子ども達と先にプールに入っててくれるかな?」と旦那さんに告げ、その親子のところへ向かいました。

 

親子のところに行き、ママと目が合ったので「暑いですね。大丈夫ですか?」と一言声をかけてみたのですが、お母さんはだんまり。

 

私も一緒にしゃがみ今度は女の子に「どしたかな?何かあったかな?」と優しく声をかけてみました。

 

するママが煙草を吸いながら 

 

「この子が言うこと聞かないんです。気に入った石をどこかで落としたらしく、折角プールの列に並んだのに列から出て探しにいくとか言い出して。だからもうプールやめたって列から外れました。」

 

と少し不機嫌な口調で教えてくれました。 

 

ママの言葉を聞いた女の子は「私はプールは入りたいの!楽しみにしていたの!」とより泣いてしまう始末。

 

そんな時、ふとママが持ってきていたトートバッグの中から、腕にはめる子ども用の浮き輪や大きな丸い浮き輪が折りたたまって入っているのが見えました。 

「沢山浮き輪とか持ってこられて素晴らしいですね。しかも一番前に並んでらしたということは、相当早く来られたんじゃないですか?」 

 

すると突然ママの表情が一気に悲しそうな表情に変わり、堰を切ったように泣きだしてしまったのです。 

 

私は黙ってそっとママの肩に手を置き、女の子には「ママは大丈夫だよ」という思いでそっと微笑みかけてみました。

 

女の子はママの姿にビックリすると同時に、いきなり現れた私を不思議そうにただただ見詰めていました。 

 

するとママは泣き顔で

 

「この子を喜ばせようと思い、朝早く起きて準備してプールに来ました。楽しみにしていました。これまでもこの子を育てるために色々なことをしてきました。でも子どものちょっとしたワガママで、また予定していた通りにいきそうになく、どうしようもなくなってしまい、全てが嫌になってしまったんです。」 

 

と教えてくれたのです。

 

「前にもそんなことがあったんですね。でも、こんなに万全に準備されて素晴らしいです。少しでものんびりしたい休日を、早起きして一番に並ぶなんて凄いことです。お子さんも楽しみにしていることですし、どうでしょう、もう一度並んでプールに入りませんか?まだ開園したばかり、まだまだこれからです。」

 

すると、そう言う私の声を聞き不思議そうな顔をしていた子どもが私にニコっと微笑み、その姿を見てママも「ったく・・・」と言いながらも、子どもを見て微笑んでくれました。 

 

 

《最高に幸せな親子の姿》 

 

「事情も知らないでいきなり話しかけてきて・・・」と嫌がられるかなという思いもあったので私は胸を撫でおろし、三人でその場から立ち上がりプールの入口まで行きました。

 

暫くしてふとプールを見渡すと、さっきの女の子に一生懸命泳ぎ方を教えてあげているママの姿があり、その最高に幸せな親子の姿に今度は私が泣きそうでした。

この親子のように、子育てにおいて自分の思い通りにはいかず心が苦しくなることは誰にでも起こりうることです。 

 

例え知らない人であっても何か困っていそうだなと思ったら声を掛けてみる、勇気を出して気持ちを打ち明けてみることは大切だと、その親子に改めて教えて頂いた気がします。

《ちょっとの勇気が誰かを大きく救うかもしれない》 

 

皆さんは、街で誰かに対して「困っていそうだな・・・」と思いつつも声をかけられなかったという経験はありませんか?

 

もし今度そのような場面に出くわしたときは、少しだけ勇気を出して声をかけてあげてみて頂きたいなと思います。 

 

皆さんの一言が、その人にとっては泣きたいほど有難く、大きな助けになるかもしれません。