主夫が学んだ〇〇を認めること

大学を卒業し8年間NPO業界で働いた後、退職をして主夫になった友人の関戸さんという方がいます。

 

そんな彼が教えてくれた、子育てでは欠かせない大切なことをご紹介します。

 

ある日、彼に

 

「主夫をしていた時、どんな子になって欲しいと思いながら育てていたの?」と尋ねました。 すると「社交的で自信たっぷりの、自分自身が大好きな子かな。」と答えてくれました。

《予想とは違った、息子さんの姿》

 

しかし、彼は続けて言いました。

 

「でも実際はとても繊細で、自分がどう見られているかをいつも気にしているんだ。とても優しく、自分も幼少の頃は内向的だったから、よく似ているよ。」と。

 

先日もこんなことがあったそうです。

 

学校の前でしゃがみ込んで自転車の鍵を探していた方がいました。

 

ただ自転車の鍵を探しているだけだったのですが、それが分からず息子さんは駆け寄り「体調悪いんですか?」と声をかけたとのこと。

 

その話を、鍵を探していたご本人からたまたま友人は耳にし「息子さんは本当に心優しいですね。」と言われたそうです。

 

別の時には、外出するためにマンションのエレベーターに乗ろうとしたのですが、息子さんが一向に乗る気配がないので「どうした?早く乗りなよ。」と友人が声をかけると、廊下を見つめていた息子さんが「乗りますか?」とどなたかに声をかけたのだそうです。

 

どうやら、その人が今からこちらに来てエレベーターに乗るかなと思い待ってあげていたので、なかなかエレベーターに乗らなかったのでした。

 

また、遊んでいる友人と息子さんのことを公園の端から見ている知らない子どもがいた時も「お父さん、あの子入りたそうにしているよ。一緒に遊んであげようよ。」と言ってきたり、心優しいエピソードは数知れずあるようでした。

 

 

 

《自分が期待する姿との差を認めること》

 

自分が望んでいた「社交的で自身たっぷり」とは違うタイプに育っているという息子さん。

 

そんな姿に最初は戸惑いもあったそうです。

 

ですが、そこから学んだことをこういう言葉で教えてくれました。

 

「子育てで大事なのは、多様性と緩さ、つまり親が期待を持ちすぎないことだと思うんだ。自分の期待する姿との差を認めること。子どもは自分の育ちたい方法を十分知っているんだ。」

 

社交的ではない代わりに優しさに溢れており、他にも鮮やかな色で絵を描いたり、魚や鳥や天体などに詳しかったり、良い個性は沢山ある、それが息子だったんだと友人は言います。

 

理想と現実のギャップに戸惑いながらも息子さんの個性を大事にして、この答えにたどり着いたことが、とても素敵だなと感じました。

皆さんは、子どもを育って欲しい理想の姿にあてはめようとした経験はないでしょうか?

 

実際に育つお子さんのタイプがもしも理想と違っていたとしても、その差を認め今の姿をよく観察することで、きっとこれまで気付けなかったお子さんの新たな魅力が発見できるかもしれません。 

 

生まれてきてくれたことに感謝し、それぞれのお子さんの素晴らしい個性を日々見ていくのも、成長の楽しみの一つではないでしょうか。

《関戸博樹さん》

NPO法人日本冒険遊び場づくり協会代表。フリーランスのプレイワーカーとして冒険遊び場、児童館や放課後児童クラブ、保育園・幼稚園など、全国の子どもの遊び場づくりに関わり、コーディネートやスタッフ研修を行っている。3児の父でもあり、長男が1歳半から3歳半になるまでの2年間を主夫として過ごし、主夫としての経験を活かした親向け講座なども行っている。大妻女子大学非常勤講師。著書に「子どもの放課後にかかわる人のQA50」(学文社・共著) がある。