お母さんを救った魔法の言葉は、〇〇だった
数年前のこと。
自動車運転免許の更新のため運転マナーに関するビデオを免許センターで見ていると、 座席反対側に小さな赤ちゃんを連れたお母さんがいました。
ビデオが始まり10分くらい経ったころでしょうか、赤ちゃんがぐずり泣き始めてしまいまったのです。
ビデオは途中退出不可、一度部屋を途中で出てしまうと、また別の時間に最初から見なければならないため、お母さんは周りに申し訳なさそうにしながらもビデオを一生懸命赤ちゃんをあやしながらビデオを見ていました。
《いきなり怒鳴ってきたおばちゃん》
やがてビデオが終わり、まだグズる赤ちゃんを連れてお母さんが部屋の外に出ようとしたとき、ママの後ろに座っていたおばちゃんが
「まったくうるさいんだよ!こんなところに赤ちゃん連れてくんじゃないよ!!」
とそのママに向かい怒鳴りました。
おばちゃんが部屋を出て行ったあとその方は呆然として動けずにいる様子だったので、私はそのママのところに駆け寄り優しく伝えました。
「大丈夫ですか?私の子どもは双子で同時泣きの大合唱に何度も困った経験があります。静かにして欲しいときに限ってなかなか泣き止んでくれないものですよね。」
すると、そのお母さんは突然泣き出してしまったのです。
「大丈夫ですか?」とまた声をかけそのお母さんの隣に座ると、お母さんは私にこう言いました。
「ビデオの最中にうちの子が泣くのが本当に皆さんに申し訳なくて、でももう一度ビデオを見る時間もなく見たとしてもその時にまた泣いてしまうかもしれない。だったら皆さんに迷惑はかけてしまうけれどビデオを見て免許の更新を済ませたかったんです。でもどうにも泣き止んでくれなくて、段々自分も苛々してしまってなんだか心が苦しくなってきてしまいました。本当にすみません。」
《誰も悪くない、今だけ》
私も双子の子育てをする中で、似たような経験は数えきれないくらいありました。
そのたびに私は「誰も悪くない。子どもが泣くのは自然なこと。それをうるさく思ってしまうのも無理はない。いづれにしても今だけだ!」と自分に言い聞かせていたのを思い出します。
自分に心にそう言い聞かせることは意外と効果があり、良い意味で仕方ないと諦めることができました。
そのお母さんにも「誰も悪くありません。今だけですよ。」と優しく言うと「有難うございます。本当に心が救われます。」とニコニコして下さり嬉し涙を流してくれました。
子育て中のお母さんにとって似たような経験はよくあることだと思います。
そんな時は「誰も悪くない、今だけだ。」の魔法をぜひ試してみて頂ければと思います。
自分に言い聞かせるもよし、困っている方に伝えてあげるもよし、気持ちが少しでも楽になれることがどれだけ大きなことか子育てでお悩みの皆さんが実感できることを願っています。
子育てを一生懸命頑張っていても「周りに迷惑になっていないかな、申し訳ないな。」という思いになることはよくあることです。
そんな時こそ、優しい言葉をかけてあげられる世の中であるといいですね。